【輸出】NACCS(ナックス)とは何か ― 輸出実務の要となるシステム


輸出手続きを調べていると、必ずと言っていいほど目にするのが、「NACCS(ナックス)」という言葉です。

しかし、「何をするシステムなのか分からない」「通関業者に任せているので意識したことがない」という方も多いのではないでしょうか。

NACCSは、輸出入や通関に関わる情報を一元的に処理する、日本の貿易実務を支える中核的なシステムです。
実は、輸出許可の取得や通関手続きは、このNACCSを抜きにして語ることはできません。

本コラムでは、「NACCSとは何か」「輸出手続きの中でどのような役割を果たしているのか」を、輸出実務に初めて関わる方にも分かりやすく解説していきます。

  • NACCSとは何か
  • 輸出許可申請はNACCSで行う
  • NACCSで入力する情報とは
  • NACCSを利用するには
  • NACCSで輸出許可申請する際に気を付けるべきこと
  • 行政書士に依頼すると何がスムーズになるか
  • 当事務所のサポート内容

1. NACCSとは何か

NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)は、輸出入・港湾・空港関連手続きをオンラインで一元処理するための基幹システムです。

輸出申告、許可・承認、検査結果の通知などがNACCS上で行われ、現在の日本の貿易実務において、NACCSを使わずに輸出を行うことはほぼ不可能です。

2. 輸出許可申請はNACCSで行う

経済産業省(経済産業局)に対する輸出許可申請は、NACCSを利用して行います。
2022年7月以降、外為法関連業務の輸出許可申請は電子申請のみとなりました(一部例外あり)。

かつて、輸出許可申請は紙の書類で行われていました。申請書を作成し、関係書類を添えて窓口に提出するという方法が一般的だった時代です。

そのため、紙での申請に慣れていた方ほど、現在の輸出手続きに戸惑うケースが多く見られます。
現在はNACCSを通じた電子申請が主流となり、手続きの流れや考え方が大きく変わっているためです。

「以前は問題なくできていたのに、今回は勝手が違う」「どこで何を入力すればよいのか分からない」といった声が出やすいのも、この制度変更が背景にあります。

3. NACCSで入力する情報とは

経済産業省(経済産業局)に対する輸出許可申請は、NACCSを利用して行います。
入力する項目は、次のような情報です。

  • 申請窓口
  • 申請者情報
  • 取引内容
  • 契約相手情報、需要者情報
  • 貨物項番情報
  • 申請理由
  • 建値等

4. NACCSを利用するには

NACCSで輸出許可申請を行うには、NACCSの利用申込みをした上、パッケージソフトのインストールが必要です。
流れは次のとおりです。

  • 利用申込
  • システム設定
  • 回線工事等(netNACCS・WebNACCSは除く)
  • デジタル証明書の取得(netNACCS・WebNACCSのみ)
  • パッケージソフトのインストール
  • 利用開始

なお、NACCSから輸出許可申請を行う場合は、NACCSの利用手続き後、経済産業省電子化・効率化推進室への申請者届出を行う必要があります。

5. NACCSで輸出許可申請する際に気を付けるべきこと

NACCSの操作や情報の入力自体は慣れてしまえば簡単です。

輸出許可申請で難しい点は、NACCSで入力する情報や書類を事前に整理することです。

該非判定

該非判定書は、通常、製品の仕様を最もよく把握しているメーカーが作成・発行します。
そのため、輸出者はメーカーから該非判定書や項目別対比表を取り寄せ、輸出許可の要否を判断するのが一般的です。

しかし、外国メーカー製の製品の場合、該非判定書や項目別対比表の入手が困難なケースが少なくありません。

その理由として、外国メーカーにとっては、日本独自の法令である

  • 外国為替及び外国貿易法(外為法)
  • 輸出貿易管理令
  • 外国為替令

を正確に理解したうえで該非判定を行うことが、現実的に難しいという事情があります。

このような場合、海外ベンダーや輸出者自身が該非判定書等を作成することになりますが、
法令理解や技術的な整理が必要となるため、実務上は大きな負担となりがちです。

申請窓口の決定

輸出許可の申請窓口は、経済産業省(本省)と各地の経済産業局の二つに分かれています。

どの窓口に申請するかは、外為法における該当項番仕向地(輸出先国)との組み合わせによって決まります。

この申請窓口を誤ると、いったん申請を取り下げたうえで、正しい窓口に再申請しなければなりません。
その場合、申請日は再申請の日付に変更されるため、許可が下りる時期もその分遅れてしまいます。

一見すると小さなミスに見えますが、スケジュール全体に影響を及ぼす重要なポイントです。

申請書類(添付書類)の準備

輸出許可申請に必要な申請書類・添付書類は、外為法の該当項番仕向地(輸出先国)との組み合わせによって異なります。

特に、輸出先の署名(サイン)が必要となる書類がある場合、海外とのやり取りや書類作成に時間を要することが少なくありません。

必要書類を正確に把握し、申請前の段階から余裕をもって準備しておくことが重要です。

書類不足や形式不備は、審査の遅延や差し戻しの原因になります。

NACCSで入力する情報の整理

NACCSで入力する情報は、前記のとおりです。

適切な情報を入力しなければ、審査が遅延してしまうため、注意が必要です。

該非判定・仕向地・申請窓口はすべて連動しているため、事前の整理が欠かせません。

6. 行政書士に依頼すると何がスムーズになるか

グローバル化が進む現在、輸出手続きのデジタル化は避けて通れません
輸出許可申請も例外ではなく、NACCSを利用した電子申請が主流となっています。

もっとも、頻繁に輸出許可申請を行っていない事業者にとっては、NACCSの操作に戸惑い、思わぬところで時間を要してしまうことも少なくありません。

輸出ビジネスでは、許可が下りるタイミングが取引成否を左右する場面もあります。
そのため、手続きを迅速かつ正確に進めるには、輸出許可申請に精通した行政書士に委任することが有効な選択肢となります。

行政書士は、NACCSを利用して「代理者による電子申請」を行うことが可能です。

7. 当事務所のサポート内容

ROMEO行政書士事務所では、外為法に基づく個別輸出許可および役務取引許可に関する手続きをサポートしております。

すでに具体的な取引が決まっている場合はもちろん、

「まだ取引は決まっていないが、将来的に輸出ビジネスを検討している」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。


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