
本ケーススタディは、告訴状に関する裁判例をもとに、実務上の注意点を整理・解説するものです。
今回取り上げるのは、告訴状不受理処分の取消しを求める行政訴訟です(さいたま地判平成23年5月18日)。
本判例は、告訴状が受理されなかった場合でも、それを裁判で争うことはできないという厳しい現実を示しています。
本ケーススタディを通じて、警察が告訴状を受理しなかったという行為の法的性質ついて、理解を深めていただければ幸いです。
- 事例の概要
- 裁判所の判断
- この判例が示す重要なポイント
- 告訴状作成における実務上の教訓
- まとめ
1. 事例の概要
本件は、被害者の法定代理人(成年後見人)が、ある企業による不当な営業行為が準詐欺罪(刑法248条)に該当するとして、
警察署に告訴状を提出しようとしたところ、公訴時効が経過していることを理由に告訴状が不受理とされた事案です。
告訴人側は、「警察は告訴状を受理する義務があるにもかかわらず、不受理としたのは違法である」として、告訴状不受理処分の取消しを求め、行政訴訟を提起しました。
2. 裁判所の判断
さいたま地方裁判所は、告訴状の不受理は、行政事件訴訟における『処分』には当たらないとして、訴えを却下しました。
裁判所は次のように判示しています。
- 告訴とは、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与える行為にすぎない
- 告訴によって捜査や起訴が行われても、それは公益のためのものであり、告訴人個人の権利や利益を直接形成するものではない
- したがって、告訴状を受理しなかった警察の行為は、国民の権利義務を直接形成・確定するものではなく、行政処分には該当しない
その結果、告訴状が受理されなかったとしても、それ自体を裁判で争うことはできないという結論に至りました。
3. この判例が示す重要なポイント
本判例から読み取れる実務上の重要な示唆は、次の点です。
① 告訴状は「出せば必ず受理される」ものではない
刑事訴訟法や犯罪捜査規範には、告訴受理義務を定める規定がありますが、実務上は、
- 公訴時効が明らかに経過している
- 構成要件該当性が極めて乏しい
- 犯罪事実の特定が不十分
といった場合、事実上受理されないケースが存在します。
② 不受理を争うことは極めて困難
本件のように、告訴状不受理は「行政処分」に当たらないと判断されるため、取消訴訟による救済は原則として認められません。
つまり、「不受理になったら裁判で何とかすればいい」という考え方は通用しません。
4. 告訴状作成における実務上の教訓
この判例は、告訴状は提出後ではなく、作成段階が最も重要であることを示しています。
特に重要なのは、
- 公訴時効の正確な検討
- 犯罪事実の日時・場所・行為内容の具体化
- どの犯罪類型に該当するのかの法的整理
- 単なるトラブルや民事紛争との線引き
これらを十分に検討せずに作成された告訴状は、入口段階で受理されないリスクを常に抱えることになります。
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