
輸出ビジネスに関わると必ず耳にする 「輸出許可」 という言葉。
実はこの輸出許可には、関税法による輸出許可 と外為法による輸出許可 の2種類が存在する ことをご存じでしょうか。
名称は似ていますが、目的、管轄、必要となるケース、申請のタイミングがまったく異なるため、混同すると大きなトラブルにつながります。
本記事では、行政書士の視点から「関税法の輸出許可」と「外為法の輸出許可」の違いを、最もわかりやすく整理します。
- 輸出許可は2種類ある:まずは全体像
- 関税法による輸出許可とは(特徴・目的・必要なケース)
- 外為法による輸出許可とは(特徴・目的・必要なケース)
- 何がどう違うのか?5つのポイントで比較
- よくある誤解と注意点
- 行政書士に依頼すると何がスムーズになるか
- 当事務所のサポート内容
1. 輸出許可は2種類ある:まずは全体像
「輸出許可」と一言で言っても、日本には 2つの全く異なる輸出許可制度 があります。
- 関税法に基づく輸出許可(税関が管轄)
- 外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく輸出許可(経済産業省が管轄)
どちらも輸出に関わる手続きですが、目的も判断基準も申請の流れも違う ため、混同すると手続きに支障が出る場合があります。
2. 関税法による輸出許可とは?
✔ 管轄
税関(財務省)
✔ 目的
国際機関の制裁措置等に対応し、「特定の貨物の輸出を禁止・制限」するため。
輸出してはいけない貨物を日本から出させないことが目的です。
✔ 適用されるケース
以下の「輸出してはならない貨物」を輸出しようとする場合、税関長の許可 が必要です。
- 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚醒剤原料を含む。)
- 児童ポルノ
- 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品
- 不正競争防止法にかかる物品等
※このほか、関税法以外の法律、例えば、植物防疫法や家畜伝染予防法においても輸出が禁止されている物品があります。それらも税関で確認されます。
✔ 申請のタイミング
輸出申告時(=出港前)
✔ 審査ポイント
「この貨物は輸出禁止品や輸出規制品に該当するか?」という点を判断します。
3. 外為法による輸出許可とは?
✔ 管轄
経済産業省(安全保障貿易管理)
✔ 目的
軍事転用される可能性のある製品や技術の移転を防ぐこと。
国際的な安全保障の枠組みに基づき、「輸出して問題ないか」を事前にチェックする仕組みです。
✔ 適用されるケース
次のいずれかに該当する場合などは、外為法上の輸出許可が必要になります。
- 製品がリスト規制に該当
- 需要者が懸念される(キャッチオール規制)
- 技術提供(データ送付等)が規制対象
✔ 申請のタイミング
輸出前に経産省へ申請→許可を得てから通関手続き
✔ 審査ポイント
- 品目
- 仕向地(輸出先)
- 製品スペック
- 最終用途
- 最終需要者
など多くの要素を確認されます。
4. 何がどう違うのか?5つのポイントで比較
| 比較項目 | 関税法の輸出許可 | 外為法の輸出許可 |
|---|---|---|
| 管轄 | 税関 | 経済産業省 |
| 目的 | 輸出禁止品の排除 | 安全保障上の規制 |
| 必要になる理由 | 輸出禁止品が含まれている | 該非判定で「該当」と判断された |
| 申請のタイミング | 輸出申告時に税関へ | 出荷前に経産省へ |
| 審査内容 | 禁止品かどうか | 品目・仕向地・スペック・用途・需要者等 |
5. よくある誤解と注意点
- 外為法の許可が出た=税関の許可も不要
→ 全く別制度なので誤りです。 - 関税法の許可が不要なら安全保障上も問題ない
→ 外為法とは無関係です。 - メーカーの該非判定書だけで判断できる
→ 実際には用途・需要者の確認が必要。
関税法による輸出許可と外為法による輸出許可は、それぞれ別個の許可となります。輸出が初めての場合、これらを混同しがち です。
6. 行政書士に依頼すると何がスムーズになるか
行政書士がサポートすると、
- 該非判定の整理
- 必要資料の洗い出し
- 外為法上の輸出許可が必要かどうか判定
- 輸出許可申請の代行
などが一括で行えます。特に 個別輸出許可 の申請は難度が高いため、専門家のサポートにメリットがあります。
7. 当事務所のサポート内容
ROMEO行政書士事務所では、 外為法上の個別輸出許可・役務取引許可 に関する手続をサポートしております。
まずは「この製品を輸出したいが、外為法による許可が必要かわからない」という段階でも、お気軽にご連絡ください。
