行政書士は、役所に提出する申請書類や契約書の作成、法人設立や各種許認可の手続きなど、私たちの生活やビジネスを幅広くサポートする専門家です。
ただし、全国に数多くの行政書士がいるため、「どの事務所に依頼すればよいのか」と迷う方も少なくありません。
ここでは、行政書士事務所を選ぶ際のポイントをご紹介します。
1 取り扱い分野を確認する
行政書士の業務範囲は非常に広く、専門分野ごとに特色があります。
まずは依頼したい手続きが事務所の得意分野かどうかを確認しましょう。
2 コミュニケーションのしやすさ
相談しやすい雰囲気や、丁寧な説明をしてくれるかどうかも大切です。
法律用語や行政のルールは一般の方には分かりにくいことが多いもの。
分かりやすい言葉で説明してくれる行政書士を選びましょう。

3 費用体系の明確さ
行政書士の報酬は自由化されているため、事務所ごとに異なります。
依頼前に必ず見積もりを取り、費用に含まれる範囲を確認することが重要です。
「書類作成だけなのか」「役所への提出や追加手続きも含むのか」をしっかり確認すると安心です。
4 対応スピードと柔軟性
許認可や登記などは期限が決まっている場合が多く、迅速な対応が求められます。
メールや電話への返答が早いかどうか、柔軟に相談に応じてくれるかも判断材料になります。

5 地域性とアクセス
多くの手続きは全国対応が可能ですが、中には役所へ直接出向かなければならない業務もあります。
たとえば、道路使用許可・車庫証明・風営法関連・古物商許可など、申請先が警察署の場合は、郵送での提出が認められていません。そのため必ず窓口まで出向く必要があります。
こうした手続きは時間や費用の負担が増えるため、近隣の行政書士事務所に依頼するほうが便利です。

6 行政書士法人と個人事務所の違い
行政書士に依頼する際は、「法人か個人か」も一つの判断材料になります。
法人は組織力や安定性に強みがあり、個人事務所は柔軟で親身な対応が期待できる場合があります。
7 無資格者が担当している悪質なケースも
行政書士事務所には、行政書士として登録している者と、その補助を行う「行政書士補助者」が在籍しています。
行政書士補助者には、行政書士試験に合格している人もいれば、資格を持たない人も含まれます。試験合格者であれば一定の法令知識がありますが、無資格者の場合は法律を学んだ経験がまったくないケースも少なくありません。
補助者はあくまで行政書士の指示を受けて補助的な業務を行う立場にあります。ところが、実際には無資格者が主体的に業務を進めている事務所もあり、これは法律で認められていない行為です。
特に、輸入・輸出に関する申請、医療関係の手続き、法人・組合の設立などは、高度で専門的な法令知識を必要とします。それにもかかわらず、こうした複雑な手続きを無資格者が主体的に担当しているケースでは依頼者に大きな不利益をもたらす可能性があり、非常に悪質な行為です。
依頼する際には、必ず担当者が「行政書士本人」であるかどうかを確認することをおすすめします。
